【高校生向け】「写真」に関する課題探究テーマの例(総合的な探究の時間)

こんにちは。きらめきフォトサービスです。

高校生のみなさん、「総合的な探究な時間」の探究テーマ、うまく設定できていますか?

探究テーマを自ら設定して探究活動に取り組まなければいけないけど、テーマがなかなか見つからない、という高校生のみなさんに向けて、「写真」に関する探究テーマのヒントを提案します!

「総合的な探究の時間」とは

高校には、国語や数学、英語などの共通教科、農業、工業、商業などの専門教科のほか、すべての高校生が履修する総合的な探究の時間というものがあります。

総合的な探究の時間の目標は次のようになっています。

実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし,自分で課題を立て,情報を集め,整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(2018)

この目標を達成するために、多くの学校では課題探究というものが行われています。

ただ、「自分で課題を立て」とありますが、多くの高校生はこの探求テーマの設定に四苦八苦する場面も多いです。先生から「自分が興味のあることを調べてみて」と指導されても、「自分が興味のあること」が漠然としていて、具体的な探究テーマに落とし込むのが難しいという人も多いのでは?事実、私が教員をしていた頃も、そのような生徒はたくさんいました。

そこで、きらめきフォトサービスが提案する、「写真」に関する課題探究テーマのヒントとともにいくつかの例を紹介します。

「自分が興味のあること」を見つけるには「好きなことを」を見つけることが重要です。

「写真」に関する課題探究テーマの例

各テーマには関連する学問を記しました。この学問系統、学問分野はベネッセのマナビジョンの分類を基にしています。

「インスタ映え」とは何か―“映える”写真の定義と考察

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関連する学問
文系:心理学、文化学、哲学、経済学、経営・商学、経営情報学、社会学、観光学
文理系:芸術学(美術・デザイン、芸術理論)、人間科学

多くの高校生にとって身近で取り組みやすいテーマです。一方で“ありきたりなテーマ”にもなりやすいので注意が必要です。

どのような写真に対して“映える”と感じるのか、調査方法や実験の方法を考えて探究してみましょう。

また、Instagramに投稿する写真、Twitterに投稿する写真、TikTokに投稿する内容に違いはあるでしょうか。あるいはストーリーに載せる写真と普通の投稿に載せる写真に違いはあるでしょうか。投稿先によって写真を使い分けているようであれば、それらを比較してみるのもおもしろいかもしれません。

写真には、「このような構図であれば見栄えがよくなる」といった“鉄則”があります。これらと「インスタ映え」は関連性があるでしょうか。美術的な構図にも視野を広げてみましょう。

地域にはいわゆる“映えスポット”というものが存在していますが、それらは地域の経済や観光などにどのような影響を与えているでしょうか

また、“映え”は時代によって変化するでしょうか。令和の“映え”は平成や昭和、あるいは次の時代には通用しないかもしれません。人の価値観は時代によって変化します。高校生にとって“映える”写真も、高齢者や子どもは別の捉え方をするかもしれません。

ひょっとしたら、“映え”にも男女による感じ方の差があるかもしれません。男女の違いを理解できれば、ジェンダー平等への考察も深められそうです。これは、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」につながりそうです。

「インスタ映え」に対して、心理学的アプローチ、美術的アプローチ、経済学的アプローチ、社会学的アプローチなどができそうです。さまざまな視点から“映え”を探究してみるのもおもしろそうですね。

人はなぜ写真を撮るのか

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関連する学問
文系:心理学、文化学、哲学
文理系:人間科学

現代は、スマートフォンで気軽に写真を撮れる時代です。スマートフォンのカメラの性能も年々進化し、その表現力はプロ仕様の一眼レフカメラに迫る勢いです。

では、人はなぜ写真を撮るのでしょうか。どんなときに写真を撮りたいと思うのか、調査方法や実験の方法を考えて探究してみましょう。

また、撮った写真はどのように利用しているでしょうか。どんな写真を残したいと思うのか、どんな写真なら削除してしまう(捨ててしまう)のか、どんな写真をSNSに投稿しようと思うのか、どんな写真をみんなで共有しようとするのか、どんな写真をプリントしたりアルバムにしたりしようと思うのか、どんなときにその写真を見返すのか。こうやって挙げていくと、とても広範囲な調査が必要で、やりがいのある探究活動ができそうです。

同じような研究をした大学の先生がいらっしゃいます。武蔵野美術大学の荒川歩先生(心理学)です。

約20年前の2005年に発表された論文なので、スマホカメラやSNSが普及した現代に再調査してみると、また違った結果が出るかもしれません。荒川先生の論文を参考にして、ぜひ現代の視点で探求してみてください。

この論文は「立命館人間科学研究」No.8[通巻24号](2005年3月発行)に収録されています。福岡県では、九州大学中央図書館福岡大学図書館が所蔵しています。
Webサイトでも論文を閲覧可能です。詳しくはCiNii Researchで確認してください。
CiNiiサイニィ Researchとは
国立情報学研究所が運営する学術情報データベースです。日本国内の雑誌・大学紀要の記事情報、研究データ、プロジェクトなどの情報を検索できます。

写真でモチベーションを上げることは可能か

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関連する学問
文系:心理学
理系:体育・健康科学
文理系:人間科学

競技スポーツの世界では、アスリートのモチベーションを高めるためにモチベーションビデオという手法がよく使われます。

モチベーションビデオとは、頑張って練習をしてきた様子や自分が得点している姿、自分の良いプレーなどを、テンションが上がる音楽とともにまとめたビデオです。試合前などにそのビデオを視聴することで選手のやる気を引き出します。

ポイントは、“自分自身が頑張っている姿”を見ること。「こんなに頑張ってきたんだ、今日もうまくいくよ!さあ行こう!」というメッセージを自分自身に伝え、モチベーションを高めるのです。

これは「写真」でも可能でしょうか。たとえば、勉強を頑張っている自分の姿、テストで良い点をとった自分の姿や答案用紙などを写真に撮っておき、それらを見返して小テストなどに臨んだとき、普段より良い点は取れるでしょうか(あくまでモチベーションが高まったかという視点で)。

具体的な実験の方法を考え、写真がモチベーションに影響するか調べてみましょう。探究をすすめていくうちに、楽しんだり共有したりするだけではない、写真の新たな活用アイディアが見つかるかもしれません。

なお、テストの結果で調査する場合は、問題集に載っている問題や小テストなどで実験することをおすすめします。定期考査で実験するにはリスクが大きすぎます……。

子どもの自己肯定感を高める「ほめ写」とは

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関連する学問
文系:心理学、哲学
文理系:教育養成系、教育学、児童学、人間科学

写真で子どもの自信を引き出すほめ写というものがあります。

「ほめ写」とは、
子どもの写真プリントを家の中に飾り、
それを見ながらほめてあげることで自己肯定感を高めようという、
新しい子育て習慣のこと。

出典:ほめ写プロジェクト

「ほめ写」は3つのステップで構成されます。

  1. 子どもが頑張っている・熱中している姿や家族の愛情を感じる写真を撮る
  2. 写真をプリントし、リビングや子ども部屋など、子どもが日常的によく過ごす場所に飾る
  3. 「あのときすごく頑張ったね」などの声かけによって子どもを褒める

このように、写真を通じて子どもを褒めることで、子どもの自己肯定感を高めようとするのが「ほめ写」です。

では、この「ほめ写」によって、子どもの自己肯定感はどれくらい高まるでしょうか。この探究を進めるためには、自己肯定感を定量化する必要があります。どのようにすれば自己肯定感を数値であらわすことができるでしょうか。具体的な調査方法や実験の方法を考えて探究してみましょう。

短期的な探究ではその成果のエビデンスをとるのはなかなか難しいかもしれません。しかし、次の年度の学年、またその次の年度の学年など、後輩たちにこの探究テーマを引き継いでいければ、その学校の“名物探究”になるかもしれません。

可能であれば、地域の幼稚園や小学校・中学校などと連携してみましょう。そうすることで、地域探究社会に開かれた教育課程の一環となるかもしれません。

「はい、チーズ」は古い!? どんな掛け声なら写真は撮られやすいか

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関連する学問
文系:心理学、外国語学、言語学、社会学、国際関係学
文理系:人間科学

「はい、チーズ!」

写真を撮るときの定番の掛け声です。なぜ、「チーズ」というのでしょうか。これは外来文化に由来があるのですが(詳しくは自分で調べてみてください)、要は笑顔で写真を撮るための工夫です。

ところで、写真を撮る人から「チーズ!」と言われて、素直に笑顔をつくれていますか?カメラを向けられたから笑顔にならなきゃ!と無理矢理笑顔をつくっていませんか?

では、どんな掛け声であれば、自然体で写真を撮ることができるでしょうか。写真を撮る側、撮られる側両面から考察してみましょう。

また、諸外国ではどのような掛け声で写真を撮っているか調べて、日本の掛け声と比較してみるのもおもしろいですね。

自然な笑顔を引き出すような掛け声を見つけることができれば、その他のコミュニケーションにも応用できそうです。写真を撮る、撮られることを通じて、コミュニケーション能力の向上が期待できるかもしれません。

もし、みんなが笑顔になれるような、世界共通の掛け声を見つけることができれば、それはSDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標16「平和と公正をすべての人ににつながるきっかけになるかもしれません。ぜひ広い視野で探究してみてください。

男女によって写真の撮り方・撮られ方に違いはあるか

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関連する学問
文系:心理学、社会学
文理系:人間科学

あなたはどのように写真を撮ったり、撮られたりしていますか?

写真の撮り方や撮られ方に男女の違いはあるでしょうか。男子だったら、少しでもイケメンに写りたい、女子だったら少しでも可愛く写りたいと思うかもしれません。

そこにはどのような違いがあるのでしょうか。それとも違いはないのでしょうか。それぞれの性のことを理解する、という観点で探究してみてください。

しかしこれはとても難しいテーマです。一歩間違えれば、男女差別につながったり、男子はこうだ、女子はこうだ、といったステレオタイプを作り出しかねません。

男子にはこういった傾向がある、女子にはこういった傾向があるということを科学的にとらえて、お互いに異性のことを理解することで、ジェンダー平等について考えてみましょう。

たとえば、女子みんなで可愛い格好をして写真を撮ろうとしたときに、中にはそんな可愛い格好はしたくないと思っている人もいるかもしれません。広い視野でとらえれば、LGBTQへの理解が生まれてくるかもしれません。そのような過程を通じて、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しようにつなげられるような探究ができるといいですね。

後世に伝えるための写真の在り方―SDGsの視点から

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関連する学問
文系:文化学、歴史学、経済学、社会学、社会福祉学、国際関係学
理系:保健学、生物学、地球科学、建築・土木・環境工学、資源・エネルギー工学、船舶・海洋工学、生物工学、農学、森林科学、水産学

写真は、一瞬を切り取って記録することができます。そしてそれは何年先、何百年先まで残る可能性があります。何気なく撮影した風景の写真も、100年後には貴重な史料になっているかもしれません。

事実、東日本大震災のときに撮られた多くの写真は、地震や津波の恐ろしさを伝える貴重な資料になっています。

では、現代はどのような時代でしょうか。身の回りにある、時代を象徴する何かの写真を撮って、SNSにアップし、Web上にアーカイブしてみましょう。もしかしたら、数年後には貴重な資料になっているかもしれません。その際、いっしょに添えるハッシュタグにも工夫が必要です。

たとえば、プラスチックごみが散乱している海や川の写真を撮り、「#プラゴミ」というハッシュタグをつけて、SNSに投稿するとします。多くの人が同じハッシュタグを使って海や川に浮かぶプラスチックごみの写真を投稿し続けることで、さらに多くの人に対して「海がこんなに汚れている、美しい海洋を取り戻さなくては!」という情報発信になるかもしれません。写真を撮ってSNSに投稿するという行為が、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろうにつながっていくのです。「海にプラスチックごみが増えている」とはよく聞くけど、実際にその写真や映像を見ないとイメージはしにくいものです。写真があることで、SDGsで解決しようとしている課題をイメージしやすくなるかもしれません。

写真とSNSの情報発信力を活用して、SDGsの17の目標に関連するような使い方ができれば、無理なくサスティナブルな活用ができそうです。では、SDGsのどの目標に対して、どのような写真を撮り、どのようなハッシュタグをつければ、効果的な情報発信ができるのでしょうか。ぜひ、考えてみてください。

ほかにも、SDGsの視点から写真をどのように活用できるか探究してみてください。

Google Maps Platformによる写真を利用したWebサービスの作成

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関連する学問
文系:経済学、経営情報学、社会学
理系:情報科学、情報工学、建築・土木・環境工学、資源・エネルギー工学、工業デザイン

インターネット上で利用できる地図サービスのひとつにGoogleマップがあります。

Googleマップは、建物やお店などの地点検索のほか、目的地までのルート検索、現地の写真を360°方向で確認できるストリートビューなど、豊富な機能があります。

このGoogleマップは、Google Maps Platform(Google Maps API)というものが公開されており、独自の地図を作成することができます。うまく活用すればオリジナルのWebサービスやアプリの開発も可能です。

たとえば、学校周辺あるいは地域にある危ない道路、交通事故が起こりやすい道路の写真を撮り、その写真の地点とGoogleマップを紐付けて、写真付きの「危ない道路マップ」をつくる、という使い方ができます。可能であれば、あなたが住んでいる地域の自治体の都市計画課と連携してみましょう。そうすれば、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりをに関係してきそうです。

このほかにも、写真×地図という視点でどのような活用ができるか考えてみてください。

なお、Google Maps Platformの機能を100%引き出すためには、プログラミングが必要です。探究活動を通じて実際にWebサービスやアプリが開発できれば、みんなに使ってもらえるような成果物を残すことができるので、やりがいがあると思います。プログラミングに興味がある、写真にも興味がある、SDGsにも取り組みたい、というのであればおもしろい探究テーマになりそうです。

共同探究歓迎!

このページに載っているテーマに興味がある、実際に探究してみようと思った、という場合はぜひ一緒に探究しましょう!

もっと詳しい話が聴きたい、具体的なアドバイスが欲しい、どのように探究を進めるとよいか教えてほしいなど、お気軽にお問い合せください。対面やメール、Zoomなどで対応いたします。フィールドワークによる訪問も歓迎します(あるいはこちらから学校に訪問することも可能です)。もちろん、高校生のみなさんに費用を請求することは一切ありません。

高校生のみなさんの探究活動をぜひお手伝いさせてください!

【プロフィール】きらめきフォトサービス代表・安武
平成20年〜令和3年まで福岡県内の高等学校に教員として勤務。教科は情報。教員として総合的な探究の時間における「課題探究」の指導経験あり。ICT、写真、映像、デザインに関する探究活動であればアドバイス可能です。お気軽にお問い合せください。
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